OUR FUTURES

「レジリエンス」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか？

この言葉は、これからの21世紀社会を生きていく上での重要なキーワードの一つとして世界中で注目を浴び始めています。

「レジリエンス」とは、「システム、企業、個人が極度の状況変化に直面した時、基本的な目的を見失うことなく体勢を立て直す能力」という意味で捉えられています。

もう少しやわらかく言うと「たとえダメージを受けたとしても、柔軟にそれを受け止め、より良い方向にしなやかに立ち上がっていく力」のことです。日本的な例で言うと「竹のようなしなやかさ」と表現されることもあります。

もともとは心理学の分野で、「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することができる能力」と定義づけられていました。

日本においては、3.11の東北大震災からの復興に際して言われることが多くなりました。

また、世界に目を向けると、「グローバルアジェンダ」を議論するスイスの世界経済フォーラム（通称：ダボス会議）の2013 年の会議において、国の国力評価を「レジリエンス」の観点で捉えた研究成果が発表されました。それ以降、政治、経済、環境、技術、 人材育成など様々な分野で「レジリエンス」というキーワードが使われるようになったとも言われています。

そのような背景の中、ちょうど一年前の2014年3月から、大成建設株式会社と共に、ビジネス、行政、市民などのセクター横断の多様な参加者を招き、「レジリエンスの未来」フューチャーセッションを連続開催してきました。

そこでは、未来の理想のレジリエンスを獲得している状態を描き、その実現のために「今」できる活動を生み出してきました。

第一タームであった「レジリエンスの未来1〜3」のシリーズでは、自然災害に対するレジリエンスを主題としたプロジェクトが産み出されてきました。

（詳細はコチラ：耐震ネット http://www.taisin-net.com/resilience/sessions/report3.html）

また、昨年11月に開催された「レジリエンスの未来4」では、「働き方」「企業経営」「食」「地方」などのテーマを取り上げ、「災害」という極限状態から新しい未来への復活の方向性を模索することに挑戦。それを「レジリエンス」と掛けあわせた、多様なテーマのプロジェクトアイデアが生み出されました。

（詳細はコチラ：耐震ネット http://www.taisin-net.com/resilience/sessions/report8.html） 

これまでの一連の「レジリエンスの未来」の活動からは、「レジリエンスな未来社会を創る上では、個々、もしくは組織において、“ゆるやかなつながり”と“入れ替わりが可能な新しいリーダーシップ”」が必要だということも見え始めてきました。

フューチャーセッションのような場をきっかけとし、不確実かつリスクの高い未来に対して「避ける」「防御する」だけでなく、「そのリスクを受け入れることから新たな可能性を見出し、様々なステークホルダーとともに新しい価値を作り続けていく」ことに「レジリエンス」を高めるヒントがあるのではないかと実感できるようになりました。

次回2月13日（金）開催の「レジリエンスの未来5」からは、これまでに無い、より大きなチャレンジをします。

これまでのセッションで生まれたアイデアに新たな視点やアプローチを注ぎながら、これまで多くの悲劇的な災害を多く受けてきた日本だからこそ、世界に示す事ができる私たちのレジリエンス」を表すプロジェクトを巻き起こし、推し進めていきます。

さらに、“3月14日（土）に開催が決定している、「レジリエンスの未来6」”は、復興に向かう東北の地で展開される国連世界防災会議パブリックフォーラムとしての開催となります。

これまでの活動を通じて見えてきた、「私たちのレジリエンスの未来」を世界中の皆さんに示し、さらなる大きなレジリエンスの未来への繋がりをつくっていきたいと思います。

これからの不確実性の高い未来においては、どんなに頑強であっても、一個人、一組織だけでは対応できないことが数多く起こるでしょう。そこには、壊滅的なダメージを受けることは避けられないかも知れません。だからこそ、そこから創造的に立ち上がっていく「レジリエンス」という能力が必要になってきます。

それは、私たちがもう既に経験した様々なハザードからの教訓を糧に、境界を越えた関係性と、しなやかで柔軟な思考から獲得し、創造していける未来であるはずです。

3.11の経験をした日本だからこそ、これからの未来に必要なものをとして世界に示すことができる「レジリエンス・ストーリー」を共に紡いでいきましょう！

文／上井 雄太（フューチャーセッションズ）

  

2015/2/13（金）13:30-17:00 ＠東京丸の内

2015/3/14（土）14:00-17:30 ＠仙台