OUR FUTURES

このストーリーは

プロジェクト 「 藤崎町 未来志向の地域デザインプロジェクト2019-2020

から投稿されました。

協創で取り組む持続可能な観光によるまちづくり


ふじさき地域デザインLABOも既に様々な活動が進んでいますが、本日は、観光ツーリズムに関する講習会です。


それにしても、タイトルが良くないですか?(笑)

「持続可能な観光を取り入れたまちづくり」は、様々なところで目にしますが、それを「協創というアプローチで取り組む」というのは、なかなか目にしませんね。

今日は、私たち「ふじさき地域デザインLABO」が共感できる内容が期待できそうです!

本日は、沖縄県で持続可能な観光を取り入れたまちづくりの活動を行っている「Agean合同会社の代表である伊藤 憲翔さん」にお話を頂きました。

観光やツーリズムという観点から、藤崎町をより良くするアクションを考え抜きたいと思います!



共創アドバイザー ピクルス最上さんからのイントロダクション



ピクルス最上さん)今日は、週末の夜にお集まりを頂き、ありがとうございました。

伊藤さんとは、2年くらい前に、内閣府で行われ沖縄県の事業の中でお会いしました。

その時に、「こんなに熱量がある人はいないなぁ」とスゴイ印象に残っていて、縁があって今でもつながらせて頂いています。(笑)


そうそう。皆さんからすると、いきなり「沖縄?」と思ったかもしれませんね。

「沖縄と藤崎では、そもそも前提が全然違うじゃん。」と感じられたと思いますが、実際には沖縄県も全ての町が観光で栄えているわけではありません。通過されている町もあるわけです。

藤崎町の悩みの1つに、「青森市と弘前市の間となる好立地だけど通過されてしまう」という課題があると思いますが、今日のお話の中にも類似する課題の事例があります。

ですので、お話を聞きながら『どうしたら、藤崎町に立ち寄ってくれるのか?』を考えて、行動に移せるようにしていけたら嬉しいなぁと思っています。

また本日の進め方ですが、初めに準備運動の対話をして、伊藤さんにプレゼンテーションを頂いて、最後にみんなで対話をする。という流れで進めたいと思います。

そして、最後に対話をする問いを最初にお伝えしておきますね。
こちらの問いに対して、自分なりの意見が持てるように、お話を聞いて頂ければと思います。

問いは、2つです。

1つは、「観光者は、誰によってまちを好きになるのだろうか?」です。
もう1つは、「私たちは、どうしたら観光客との対話時間を増やすことができるだろうか?」です。

大丈夫ですかね? では、伊藤さんからお話を頂きましょう!よろしくお願い致します。



伊藤さんの自己紹介と観光の現状について



伊藤さん)皆さん、初めまして。伊藤憲翔と言います。本日は、2時間くらいになりますが、よろしくお願い致します。

簡単に自己紹介をすると、趣味は三線、性格は負けず嫌い、嫌いなものは虫、好きなものは沖縄です。

経歴を少しお話すると、学生時代は少しやんちゃな野球少年でした。(笑) そして、引っ越し屋さん、土木建築、内装関係、地域ラジオの仕事を経て、一般社団法人糸満市観光協会というところで働いてきました。

今は、『沖縄観光人材のモデルになってやる!』と発起して、企業報奨旅行イベントの企画運営や、修学旅行商品の造成、嘉手納町観光協会設立に向けたワーキングチームなどの業務に関わっています。

最近は、新型コロナウイルス感染症の影響をモロに受けていますが、嘆いていても1円にもならないので、ドンドン行動をしています。

今日は、よろしくお願いします。



観光の現状について


伊藤さん)まずはじめに観光の現状についてお話します。

世界の旅行人口は、14億人(海外旅行者数)。日本への旅行客は、3,100万人(訪日旅行者数)です。

そして、日本の旅行消費は、4.8兆円(訪日外国人消費額)でしたが、国としては2020年までに8兆円まで拡大したい。という目論見がありました。



さて、なぜ観光に力を入れたのでしょうか?
少し違う角度から捉えると、なぜ日本では交流人口を増やそうとなったのでしょうか?

原因は、「人口減少によるGDPの低下」ですね。

日本では「人口減少によるGDPの低下」に対して、「交流人口を増やそう」というアクションになりました。

欧米では「移民」などの別の方法でGDP低下への対策を打っているところがありますが、日本は島国だったことや外国語への対応の問題もあり、国内での交流人口増加という対策になりました。



では、交流人口を増加させようというのは、どういった指標を上げようということでしょうか?

そうですね。訪日観光客数の増加、滞在日数の増加、消費単価の向上、ですね。


では、青森県内を見てみましょう。

青森への旅行客は、約1,600万(H29 青森県観光入込客数)が来ていますね。藤崎町への旅行客は、19万弱(ふじさき食彩テラス来店数)という数字がありますね。また、2017年度比156%という成長の数字は素晴らしいですね。



旅人の心を掴む



伊藤さん)観光業界では、旅人の心を動かす4要素と言われているものがあります。

それは、「日常とは違う自然」「日常とは違う気候」「日常とは違う文化」「日常とは違う食事」の4つです。


では沖縄県には、どんな特長があるか?

例えば、沖縄は「亜熱帯の植物が多く見られること」や「キレイな海」という自然や、暖かい気候があります。

また、エイサーという文化があり、沖縄の方言も独特ですね。そして、ヤギですね。ヤギと聞くと動物というイメージが強いと思いますが、沖縄のヤギは食につながります。

こういった4要素を旅行者へ届けていくことが大切になります。



観光客の誘致を取り組む上で大切なこと


伊藤さん)先程にもお話をさせて頂きましたが、交流人口を増加させて経済を活性化させることが大事になります。

最近の観光業のキーワードは、「着地型観光」です。以前は、発地型観光というものがあり、旅先地ではなく出発地の旅行会社の方々が、コースや立ち寄るところをつくって募集を行い、みんなで行く。という形が発地型観光というものです。

着地型観光は、旅行先の地域の旅行会社や地域の方たちがコースをつくってしっかりアピールを行い、第二のふるさとを目指す形のもので、そのキーワードとしては「暮らすように旅をする。」があります。


この流れは、モノ消費からコト消費へ。という変化とつながります。

青森でりんごを買う。というコンテンツだけを売るのではなく、
青森のりんごで、冬に風邪を引かない身体をつくりませんか。といったようなことですね。


では、どういったコトの提供事例があるのか?

私は、糸満市というところにいたのですが、糸満市は海士文化が根強く残り、農業も盛ん、豆腐という食文化も活用できるかも?という背景から、「グリーンツーリズム」を活かした施策を行いました。

1つ目は、フーカキサバニという船の事例です。


このフーカキサバニという船は、昔に沖縄で使われていた漁師の漁船です。エンジンも使わずに風を使って動かす船は、現在の世の中だとドンドン縮小していました。

その中で、「この海士の文化を残したい!」という人たちと出会いました。

残さないと造り手も育たないということもあって、「観光として活用してみませんか?」という話をしました。

この2016年のスポーツ文化ツーリズムアワードで九州沖縄代表として入選をしました。


2つ目は、豆腐屋さんの事例です。


こちらは、ざはとーふさんの事例ですが、「実は沖縄の豆腐と本土の豆腐は違うらしいよ」ということを知って、「昔ながらの沖縄のつくり方で、沖縄古民家を活用して、豆腐をつくる体験を提供してみませんか?」というお話をしました。

この事例は結果的にラッキーだったのですが、リリースして2ヶ月でお客様が400人も来てくれました。

その過程ですが、オーナーさんは、最初は少し抵抗感があったのですが、徐々にお客様が来てくれることで、本人が少しずつ「こうした方がもっと喜ぶよね」というアイデアを出して、改良を加えていきました。つまり、自走化してきたわけです。


この2つの事例から言いたいことは、『コンテンツが大事だ!』ということではありません。

私としては、『地域の人と過ごす時間を大切にすること』が大事だと考えています。

その中で大切にしたことは、以下の3つです。
①地域住民に主体性を持たせること
②行政と地域の橋渡しを行うこと
③地域、他業種間の関係性の構築

そして、協働で観光のまちづくりの促進に取り組むことが大切だと考えています。



では、実際に集客を行う場合、どのようにしていけば良いのでしょうか?

SNSなどでマーケティングを行う方法もありますが、こんな考え方もあると思います。

「近隣エリアから引き込む」という考え方ですね。青森市は、600万人以上、弘前市は400万人以上、十和田市は300万人以上の地域です。こういった周辺エリアから引き込むことも考えていけると良いと思います。


沖縄県に、「浦添市」という地域があります。


この地域、ホテルがない。これといった観光施設がない。那覇と中北部をつなぐ素通りどころ。地元の人も行かない。という状況でした。

ただ、「琉球の発祥の地」という特長がありました。そこから、那覇市と連携した事業を行い、広域連携商品や情報発信をしました。


もう1つ紹介します。「南風原町」という地域です。


こちらも、ホテルがない。これといった観光施設がない。沖縄で唯一海に面していない。地元の人も行かない。という状況でした

ただ、「戦跡地として参拝者が多い」という特長がありました。そこから、那覇市と糸満市が連携して、広域連携商品(沖縄での戦争を軸にした大人向けの旅行商品)の造成を行い、情報を発信しました。

ここで言いたかったことは、「周囲を敵とみるか、それとも味方として見るか。は、大切だ」ということですね。


自分たちだけのエリアを盛り上げようと狭い視野ではなく、青森市、弘前市、十和田市などと連携して、広域連携商品の開発を行えると、津軽エリアへ来訪された旅行客に取って、満足度の高い旅になるのではないか、と思います。



観光を推進していく上で、気をつけておきたいコト


伊藤さん)この画像は、沖縄に関するニュースや新聞です。

旅行人気スポットでは、ゴミやレンタカーの駐車、立入禁止に入ってしまうなどの問題が起きています。

また、殆どのホテルの朝食はビュッフェ形式のため、フードロスの問題もあがっています。

つまり、観光は良い面だけでなく、良くない面もあります。それを理解して、持続可能な観光につなげることが重要です。


観光による環境破壊を減らすためには、地域のありたい姿を多くの方と共有すること。多様な関係者とコミュニケーションを取ること。身の丈に合った観光地形成を心がけること。そして、訪れる観光客への周知活動を行うことが大事になります。



これからの予測不可能な社会における観光について


伊藤さん)新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、各業界で−90%以上の影響が出ています。そして、沖縄県では、閉店や休業が相次いでいます。

沖縄県は、県外からの誘客だけに力を入れていましたが、これからは県内の周遊観光の展開も必要と考えています。



では、どのような活動をしてくのか?

例えば、という例ですが、私たちはキャンピングカーでワークショップをすることをやってみました。

これからの時代は、ワーケーションが来るのではないか?ということで、キャンピングカーを活用したワーケーションを行ってみました。



未来へ向けては、何が正解かはわかりませんが、これからは「人に会いに行く旅を共創する。」ということが大切になると考えています。

交流人口を増やしていくこと。から、関係人口を増やして交流人口につなげる。という活動につなげるための商材や事業をつくっていけると良いと思います。



今回のこの講習会を通して、私も藤崎町の関係人口になりました。私は皆さんに会いに行くために藤崎町に行きますので、その際は簡単なことでもよいので、一緒に過ごす時間を取れると嬉しいです。



最後の振返り


伊藤さん)では最後に、今日のお話を振返りましょう。

観光の現状という話からは、「観光客を増やして経済波及効果を創出して、経済成長の促進を図る必要がある」ということと、「非日常の資源(4要素)を活用した観光商品造成が、観光客の誘致につながる」ことをお話しました。

そして、観光客の誘致に関する話からは、「モノ消費からコト消費への文脈を加味して、どんなコトを提供できるのかを考えて商品やサービスを造成する」こと、特に「あの人と一緒に回ったナゾトキ面白かったよね」や「あの人と飲んだシロップ美味しかったよね」と言えるようにしていくと良いと思います。それと、「誰に向けて、何を提供するか、に基づいて、敵や味方をしっかりと認識しながら情報発信を行う」ことをお話しました。

最後に、「予測不可能な社会を受け入れて、町外だけでなく町内といった新たな視点も交えて次のアクションを考える」ことと、「藤崎町の関係人口を創出しながら、あの人に会いに行こうという形で来訪してもらうために協働で取り組みを行う」ことについてお話しました。

協働で地域をデザインする良いチームづくり。を意識して、みんなで頑張って行きましょう!



対話セッションによる深堀り



ピクルス最上さん)伊藤さん、素晴らしい内容をありがとうございました。

複雑な観光やツーリズムの話をとってもわかりやすくまとめて頂き、スッと理解することができました。流石ですっ!!

ではでは、最後に冒頭に挙げさせて頂いた問いについて、皆さんと対話をしたいと思います。


時間が少ないので、まず最初に「観光者は、誰によって藤崎町を好きになるのだろうか?」という問いを掲示した私の考えをお話すると、

私は約一年半という期間ですが、「藤崎町が好きになっているのではなく、このメンバー一人ひとりを好きになっている」と思っています。

この人スゴイなぁとか。面白いなぁとか。美味しいなぁとか。色々とあるのですが、、、
藤崎町という場所よりも、「その人と一緒に酒でも飲みながら話したいなぁと思うこと」の気持ちの方が強いと思っています。

何を言っているかというと、「つまり、観光者はワタシ(関係した人)を通じてまちを好きになるのではないか?」ということです。
なので、関係した人が嫌いなタイプだとまちも嫌いになってしまうかもしれません。笑

なので、「一人ひとりが観光者をよそ者扱いするのではなく、興味を持って関係を構築すること」から始まるのではないかと思いました。

では、皆さんはいかがですか?



池本さん)私は兵庫県から参加しているので、これまではzoomの画面上の1コマでしか一人ひとりを知ることができなかったのです。

ですが、先日のオンラインミーティングの終了後に、終わってからもずっと回線をつなげていてくれて、

その映像の背景に、現地の酒店の中にある駄菓子の風景が見えて、みんなで「おつかれ〜っ」といって、缶ビールを開けてリラックスした宴会が始まるといった手触り感のあるコミュニケーションをした際に、グッと好きになりました。偶然なことが良いのかなと思う感じです。



佐藤さん)池本さんの発言に乗っかると、予定されていた商品やサービスがステキということもあるけど、関わった人たちの予測できない素のようなコミュニケーションが含まれることで、グッと好きになるということが生まれるんだなということが感じられました。


伊藤さん)距離感を壊せるズカズカ行ける人も良いかもしれませんね。


ピクルス最上さん)もう1つの問いは、「私たちは、どうしたら観光客との対話時間を増やすことができるだろうか?」ですが、

こちらは、皆さんとこれからも事業をつくり続ける上で、考え続けて欲しいと思っています。

商品やサービスをつくろうとすると、"コンテンツだけ"になりがちだと思いますが、

しっかりとお客様とコミュニケーションできる余白を設けられるように、事業をつくっていきましょう。

それこそが、共創や協働につながると思います。



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短時間でスゴクたくさんのコトを学んでしまった。。。というのが、一番の印象ですね。

伊藤さんが話してくれた観光ツーリズムにおける大切なことは、私たちふじさき地域デザインLABOが大切にする共創によるまちづくりと同じでした。

これまで、私たちがつくってきた事業は、観光ツーリズムにおける視点が少し抜けていたかもしれませんが、この講習会で得られた学びを活かして、「会いたくなる人が生まれる事業」にしていきたいと思いました。

改めて、伊藤さん。ありがとうございました!


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